岩波文庫を買う人のために

書店に行くと、岩波文庫が少ないなぁ(あるいは全然ないなぁ)という感じがします。かつては、岩波文庫を置かないと書店として格好がつかない、という雰囲気もあったようですが、角川書店などの攻勢による文庫戦争、書店の棚の奪い合いが激しくなったころから、月に4冊をほそぼそと出し、買い取り制なのになかなか売れない岩波文庫は、次第に書店での居場所を失っていきました。最近では、注文してもいつ入荷するかわからない書店で購入することは最初から諦めて、Amazonのようなインターネット上のオンラインショップを利用すれば、本の価格も変わらず、即日送料無料で家まで届けてくれるわけですから、これが一番確実な入手方法になっています。

オンラインショプであれば、探している本をすぐに検索してくれますが、岩波文庫全体の書目の内容を概観するには、昔ながらの岩波文庫目録も便利です。これもいまでは岩波書店のWebサイトから電子版を入手できます。

80年版 岩波文庫解説総目録―1927~2006
岩波書店
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もちろんこの目録には現在在庫している書目しか掲載されていませんので、すでに品切絶版になっている書目を調べるには、創刊以来の書目を掲載している総目録が必要です。これは創刊〇〇周年などの節目に発行されていて、現在手に入るものとしては、創刊80周年の際に出された「80年版 岩波文庫解説総目録―1927~2006」があります(電子版CD-ROMは70周年のときに出ましたがこちらは絶版)。要領よくまとめられた紹介文は、これだけ読んでみても楽しいものです。

総目録などで関心のある書目が見つかり、注文しようとしたがあいにく既に品切絶版である場合、Amazonのマーケットプレイスやネットオークションで探すことになるわけですが、それでも見つからない場合は古書店を頼ることになります。いまのネットショップに慣れてしまっている人にとっては、古書店のシステム自体、ものすごく古臭いものに見えてしまうかもしれませんが、昭和2年の創刊以来、5000点を超える岩波文庫があちこちの古書店に蓄えられてきたわけで、とくに昔から古い文庫の収集に力を入れている古書店であれば、ネットで見つからないような稀覯書目を抱えていることが多いのです。
 
そのような古書店の例として、私も学生時代から利用していた神保町の「山陽堂支店」が有名でしたけれど、すでに閉店してしまいました(写真は同店の「岩波文庫2300冊揃」165万円也)。ほかに大手の古書店ならそれなりに古い文庫に力を入れているところが多いですが、専門店としては「文庫川村」(東京都千代田区神田小川町3-10)が有名です。ここは文庫専門古書店で、岩波文庫の絶版品切も多数あり、古い新書も扱っています。

もちろん、古書店にもインターネットの波はきていて、古書店在庫が横断検索できる東京都古書籍商業協同組合の「日本の古本屋」も充実してきました。戦前の岩波文庫アーノルド「亜細亜の光」もここで見つかります。

いずれにしても、岩波文庫は新刊から品切絶版への期間が短いので、多くの人が探しているような書目は文字通りの出たとこ勝負となっています。気になる本が出たら,とにかく買っておく,ということが,のちのち後悔しないコツかと….。

※1997年10月8日記事を改訂したものです