ネーデルラント旅日記(デューラー)

ネーデルラント旅日記 (岩波文庫 青 571-1)かつては年末になると,婦人雑誌の新年号の分厚い付録が話題となり,我が家でも母親がその付録の家計簿に一年間まめに買い物や支払などをメモしていました。しかしながら,最近は婦人雑誌が衰退し,ウチのカミサンなど,もっぱら携帯電話を家計簿代わりに使っております。私など,もっとズボラで,カードの利用記録以外,何にも残っていません・・・。
それでも世の中には,お金の出入りをしっかり記録しておかないと気が済まない人もいるわけで,たとえば画家のデューラーは,1520年夏に途切れた年金の支給を新皇帝カロルス5世に請願すべく,妻と侍女とを伴い,ニュルンベルクからネーデルラント(現在のベルギー地方)へ長旅に出た際,宿代や交通費等を日々細大漏らさず記録しており,後生の研究者への貴重な資料となっています。それが岩波文庫の「ネーデルラント旅日記」。
もちろん,収支だけでなく,諸都市における見聞も記されており,カラーの口絵をはじめ,いくつかのスケッチと詳細な解説を含む本書は,異色の旅日記(「出納簿文学」?)として,一読の価値があります。