8月5日、岩波書店創業100年

岩波書店が8月5日に創業100年を迎えた。

岩波書店は、大正2年創業。大正3年に夏目漱石「こころ」を手がけて以降、古今東西の古典を集めた「岩波文庫」や、月刊誌「世界」、国語辞典「広辞苑」などを出版し、出版点数の累計はおよそ3万4千点。なかでも「岩波文庫」は、これまでに5650点を刊行し、プラトン「ソクラテスの弁明・クリトン」160万部、夏目漱石「坊っちゃん」とルソー「エミール」139万部、「論語」130万部などのベストセラーを生んできた。

岡本岩波書店社長は「社会情勢の変化に伴って読者の求める情報も多様化しましたが、岩波書店では戦争への反省や民主主義をテーマに学術的根拠に基づいた記事を発信してきた。今後も社会に対し、さまざまな視点で『問い』を投げかけるとともに、知識や文化を読者に配達する役割を果たしていきたい」と話している。

80年代マイコン大百科

80年代マイコン大百科
80年代マイコン大百科
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佐々木潤
総合科学出版
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新刊「80年代マイコン大百科」は、1980年代に発売されていたパソコンゲーム雑誌の話題をもとに、懐かしいマイコン時代を振り返るというもの。私は、ちょうどマイコン世代で、シャープのMZシリーズやPC-8000シリーズを経て、PC-9800でパソコン時代に入ったクチだから、そうだったな…という話ばかりだ。当時の有名パソコンや今ではお目にかかれない周辺機器、人気ゲームや雑誌の広告、当時有名だったソフトハウスやゲーム作者など、Windows世代の人にも楽しめる「マイコン時代のパソコン情報」だ。

Tokyo Idol Festival TIF2013に参戦

7/27、28日、東京お台場で開催されたTIF2013に参戦しました。日頃、新橋に勤務している身としては、通いでも良かったのですが、もう若くないし、おそらく体力を消耗するだろうと思い、現地宿泊。これは正解でした。

27日は当初、野外ステージにいたのですが、あまりの暑さに負けて、早々にZEPPへ避難。もぱっらそこでの観戦となりましたが、日頃、ハロばかりでほかのグループに疎い自分としては初見のグループも多く、楽しめました。簡単に印象を。

(1)バンドじゃないもん!(野外):曲はなかなかイイ。ルックスもカワイイ。なんかグルグル回ってた(^^ゞ
(2)リンダIII世:日系ブラジル人グループ。みんな若い。つい脇のサンバダンサーに目がいってしまうが、へんな3人の男の人は誰(^^ゞ
(3)bump.y:桜庭ななみだけ知ってた。
(4)Cheaky Parade:知ってた。上手い。
(5)Negicco:なかなか良かったけど、そんな長くやってるとは知らなんだ(^^ゞ
(6)PASSPO☆:知ってた。あまり代わり映えしない感じ(^^ゞ
(7)Dorothy Little Happy:知ってた。やっぱり実力あり。
(8)アフィリア・サーガ:初めて見たが、なかなかまとまっていて良かった。
(9)バニラビーンズ:いろいろなところで見かけるお姉さまがた。結構好き。
(10)SUPER☆GIRLS:よく知ってた。
(11)東京女子流:スパガの後だとえらく清純派に見える女子流。先日見たときは歌のほうが不調だったが、結構持ち直した感じ。とくに友梨ちゃんが頑張って歌ってた印象。
(12)AeLL.:グループでは初見。篠崎愛ちゃんのグループという感じだが、実際は他のメンバーも可愛くて歌も上手い。リーダーのMCがちょっとウザイ(^^ゞが、いろいろと見応えがある。新衣装は愛ちゃんの露出度が高くなかったのが残念。
(13)THEポッシボー:あいかわらず応援しているファンがいることに感動、というかロビン久しぶりに見ました。実力があるのはわかっているが、ちょっとジャンル違いという感じか。
(14)LinQ:朝一番だったがファン多いね。
(15)しず風&絆:名古屋のユニット。客席ダイブは無し(^^ゞ
(16)まさみのりさ:名前はお笑いコンビみたいだけど、以前から名前とあのくるくる回るやつは知ってた。
(17)風男塾:男装ということから、ちょっとキモい感じを想像していたが、みんなかわいい子じゃないですか。これは確かに人気出ますな。
(18)X21:「とにかくかわいい子を集めてみました!それだけです!」という割り切りがいい。
(19)アイドルカレッジ:昔のB.L.Tか。どこに特徴があるのかちょっとわからない。
(20)HKT48:やはりいちばんの盛り上がりだった。指原は出ないかと思ったら、2ndシングル選抜全員登場。昔AKBで聴いていた馴染みの曲+オリジナルシングル2曲。最後にやった新曲メロンジュースは勢いのある曲で、さすがに若いメンバーも肩で息していた感じ。次は東京ドームでお会いしましょう。
(21)Dream5:男の子1人と女の子4人のグループ。みんな若くて、とくに男の子に大声援がありビックリ(^^ゞ
(22)さくら学院:グループのメンバーの中に中学生がいるというのは私的に許容範囲だが、メンバーがすべて中学生と小学生ということになるとやっぱりちょっと厳しいです(^^ゞ

日本怪異妖怪大事典

日本怪異妖怪大事典
日本怪異妖怪大事典
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東京堂出版
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「もののけ」や「化け物」などの伝承世界を網羅した『日本怪異妖怪大事典』が東京堂出版から刊行された。国際日本文化研究センターの「怪異・妖怪伝承データベース」をもとに、1300余の項目を研究者99人が執筆した。監修は小松和彦・同センター所長。18,900円。「別称・類似現象索引」「事例地名索引」などもついている。

BOOKasahi.com

週刊少年サンデー値下げで部数3割増

17年ぶりに値下げして200円で販売された少年マンガ誌「週刊少年サンデー」(小学館)の33号(17日発売)の実売数が、前号と比べて3割増えたことが24日、明らかになった。日本雑誌協会によると同誌の部数(1~3月)は約50万部。関係者によると「この規模の雑誌では前例がない増え方に驚いている。200円の効果以外にも、付録、プレゼントキャンペーンの効果があったのでは」と話している。

週刊少年サンデーは通常260~280円で販売されるが、この号は異例の値下げを実施。「名探偵コナン」の小冊子や「マギ」のポスターなどを付録にするなどして話題になった。24日発売の34号では、「爆サン」と題したキャンペーンの4週連続企画の第2弾として、テレビアニメを放送している「銀の匙」の設定資料集を付録にしており、連載作家の直筆サインが入った家庭用ゲーム機「WiiU」のプレゼント企画も実施している。

マンガの雑誌は、利益の高いコミックスの販売と組み合わせて採算を取るビジネスモデルが確立されている。雑誌単体では基本的に赤字だが、人気誌は知名度が高く、出版社の“顔”であり、次のヒット作や新人作家を育てる場ともなっている。しかし2000年代に入ってから、マンガ以外の娯楽の増加などが影響し、出版各社は雑誌の部数減に悩んでいる。

毎日新聞デジタル

「デンキ街の本屋さん」5巻発売記念で小冊子など特典を配布

デンキ街の本屋さん 5 (フラッパーコミックス)
水 あさと
メディアファクトリー (2013-07-23)

水あさと「デンキ街の本屋さん」の5巻が7月23日に発売された・これを記念し、一部書店で購入特典の配布が行われている。対象の書店はゲーマーズ、WonderGOO、コミックとらのあな、メロンブックス、アニメイト、COMIC ZIN。コミックとらのあなとメロンブックスでは小冊子が、そのほかの書店ではペーパーが用意されており、絵柄や内容は書店によって異なる。なお配布を行わない店舗もあるため、確実に手に入れたい人は事前に確認しておこう。

「デンキ街の本屋さん」は、電気街のコミック専門書店・BOOKS うまのほねを舞台に繰り広げられる書店員の日常劇。月刊コミックフラッパー(メディアファクトリー)にて連載中だ。

MYNAVI

『講座 日本茶の湯全史』全3巻の刊行開始

講座 日本茶の湯全史〈第1巻〉中世
思文閣出版
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中世から近代に至る茶の湯の通史を描いた『講座 日本茶の湯全史』全3巻(思文閣出版)の刊行が始まった。茶の湯文化学会編。編集委員会代表は熊倉功夫氏。30人の研究者が執筆している。既刊は第1巻『中世』と第3巻『近代』。第2巻は今秋刊行予定。各2625円。

本のニュース

岩波書店が六法全書の刊行を終了

岩波 基本六法 平成25(2013)年版
岩波書店
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岩波書店は1930年以来続けてきた六法全書の刊行を昨秋の「平成25年版」を最後に終了した。同社によると、インターネットを使った条文や判例の検索が利用され、法学部生以外の学生が六法全書をあまり買わなくなったことなど、需要が年々減少していた。時代に応じた六法を作ってきたが、望む結果が出なかった。今年は創業100年という節目の年で、岩波の活動全体を見直す中で刊行終了を決めた。今後は市民と法とを結ぶ法律書の刊行に力を入れていきたい」とのこと。

コーヒーと古書の店「36books(サルブックス)」がオープン

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6月17日、広島市にコーヒーと古書の店「36books(サルブックス)」がオープンした。エスプレッソコーヒーとアート、ファッション、絵本などの洋古書をそろえ、席数はカウンターとテーブルを合わせて8席。パスタやオムライスなどのフードメニューや手作りドーナッツも提供し、「カフェ感覚でも利用いただきたい」とのこと。営業時間は12時~24時で火曜日定休。

おサル印のブックカフェ「36books」

岩波書店創業百年記念復刊「もう一度読みたい岩波新書」

岩波書店は創業百年を記念して、「もう一度読みたい岩波新書」と題し、1938年創刊の岩波新書の中から発売当時に大きく話題になったもの,現在においても意義深いもの10点を一括復刊した(7月12日)。紹介は同社による。
人間と政治 (1953年) (岩波新書〈第131〉)
占領期を脱し、講和、独立へと向かうなか、戦争放棄と平和国家の理念は早くも危殆に瀕しつつあった。われわれの掲げた憲法の理想とは何であったのか。揺るぎないヒューマニズムに裏打ちされた政治哲学者の省察。〈1953年初版〉
マルクス・エンゲルス小伝 (1965年) (岩波新書)
ほんとうにマルクスは古くなったのであろうか。豊かな知見と闊達な筆とをもってマルクスとエンゲルスの生涯を描き、その思想の本質を紹介。〈1964年初版〉
日本人の心理 (岩波新書 青版)
日本人の心理には「長いものには巻かれろ」といった処世法が生きている一方で、権威を否定し自我を主張する生き方が存在している.また合理主義的な思考が広く定着しつつあるなかで、「物事は気の持ちよう」といった精神主義も根強い力を持っている。複雑な日本人の心理とあいまいな人間関係を鋭く分析した海外にも知られた名著。〈1953年初版〉
親鸞 (岩波新書 青版 853)
末世といわれる時代に叡山を下りて大衆の中に入り、血のにじむような体験をのりこえて新しい仏教理論をうちたてた親鸞。親鸞の思想構築の現場に肉迫し,さらに現代に生きる仏教のあるべき姿を追求する。〈1973年初版〉
太平洋海戦史 改訂版 (岩波新書 青版 12)
東条内閣の打倒、終戦工作で大きな役割を果たし海軍きっての知性派として知られた高木惣吉少将が太平洋での戦闘の詳細を記録した戦史。真珠湾攻撃からレイテ沖海戦まで、作戦、戦術での過誤をも厳しく見つめ、冷静な筆致と客観的な分析で描写する。〈1949年初版〉
中国文学講話 (1968年) (岩波新書)
民衆の立場に立って、古代の神話から詩歌、怪奇譚、劇、物語などをへて現代小説に至る中国文学の流れを、中国語特有の表現の面白さ、中国人のものの考え方にもふれつつ味わい深く語る。〈1968年初版〉
芭蕉句抄 (岩波新書 青版 414)
永年、芭蕉研究に精力をかたむけてきた著者が、年代順に名句を選び、きわめて綿密にかつ感情豊かに解説をほどこし鑑賞の手引きを与えながら、芭蕉の生活と心境に読者を引き入れる。〈1961年初版〉
抵抗の文学 (1951年) (岩波新書〈第58〉)
1940年6月から約4年間、ナチス占領軍と傀儡政権に支配されたフランス。ファシズムに抗する「国民的目的を追求する国民の運動」のなかで生まれた新しい抵抗(レジスタンス)の文学とは何だったのか?〈1951年初版〉
アメリカ遊学記 (1950年) (岩波新書〈第42〉)
15年戦争前夜、単身日本を発ち、新天地アメリカへ。経済学との出会い、ハーバードでの研鑽、シュンペーターとの交流など、一学徒として過ごした学究の日々を回想する。〈1950年初版〉
動物と太陽コンパス (1963年) (岩波新書)
渡り鳥は遠距離をこえて的確にわが家に帰る。サケやマスも大洋を游ぎまわった後、的確に生れ故郷の川にもどる。これらの動物が共通に太陽コンパスを役立てていることが発見された。この謎の解決を通じて自然を知る面白さを生き生きと教えてくれる。〈1963年初版〉

講談社がコミックスをフィルムパックして出荷

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講談社・野間省伸社長は、11月からコミックスをフィルムパック(ビニール包装)して出荷すると発表した。その際、スリップはなくなり、図のようなシールを裏面に貼り付ける。現在でも書店でフィルムパックされたコミックスがならんでいるが、これはもっぱら書店自体が包装作業を行なっており、手間もコストもバカにならない。これをあらかじめ出版社側でやってしまおうというもの。問題としては、フィルムパックの内側にICタグを入れて万引き防止を行っている店ではパックし直すなど対応が必要な点、本自体にもバーコードを付けておかないと開封後の蔵書管理サービスなどで読者がバーコードを読み込んで本を登録することができなくなる点などが挙げられている。

夏の文庫本キャンペーン

各出版社の今年の夏の文庫本キャンペーン

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集英社
平成3年から続く「ナツイチ」キャンペーンに「若い世代に親しみを持ってもらい、夏休みにたくさん読書してほしい」と初めてアイドルグループAKB48を起用。大島優子らメンバー85人が一冊ずつ課題図書を与えられ、特設サイトで感想文を順次発表する。
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新潮社
毎夏恒例となっている「新潮文庫の100冊」の対象108作品について、作家や女優、政治家など各界の著名人が心に残った1行を紹介する「ワタシの一行」キャンペーンを実施。文庫の帯には松井秀喜やビートたけしらが選んだ1行が寄せられている。
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角川書店
愛媛県の「バリィさん」や高知県の「カツオ人間」など14種の「ゆるキャラ」を書店店頭のポップやプレゼントグッズに初めて起用。帯の裏側にQRコードを記載しポイントを貯めると「ハッケンくんグッズ」をプレゼント。

昨年の文庫本の推定販売金額は1,326億円で2年連続の増加。単行本などを含む書籍が6年連続の減少となる8013億円と比べ、堅調。出版科学研究所では「単行本に比べ安価なことに加えて、映画化やドラマ化のタイミングで、文庫になってから原作に触れる人が多い。かき入れ時の夏のフェアで、マンネリを打破しようと各社が工夫を凝らしているようだ」と分析。

ふたつの即興詩人-アンデルセンと森 鴎外

アンデルセン 即興詩人(上) (岩波文庫)
アンデルセン
岩波書店
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“即興詩人”は,アンデルセンのあこがれの国イタリアを舞台にしてくりひろげられる恋の物語。ローマに生まれた薄幸の主人公アントニオの生い立ちに始まり,オペラ女優アヌンチャタとの悲恋,数奇な運命の果てに,かれは即興詩人として名声を得,ヴェネツィア第一の美女マリアと結ばれてめでたく終わる。その間に,親友の豪放な貴族ベルナアルド,美貌の小尼公フラミニア姫,情熱の人妻サンタ等の美男美女,あるいはまた聖母のごとき慈愛の老婆ドメニカ,ふしぎな魔女のようなフルヴィア等を配しつつ,舞台はローマ,ナポリ,ヴェネツィアにわたる。若い芸術家の青春,かれの悲哀と世に出るまでの物語が,ローマ,ナポリ,ヴェネツィアを舞台に展開する間に,イタリア本土の名勝,旧跡,観光地のほとんど,それを取り巻く自然のたたずまいがさまざまに点綴されて描かれる。また,そこにからむギリシャ,ローマの神話,伝説からイタリアの歴史,宗教,文学,芸術,年中行事,風俗,風物にこまごまと筆が向けられるのである。イタリアのすべてにアンデルセンは心を奪われて筆を惜しまないし,至るところであるいは感激し,あるいは詠嘆して賛美の声を放つのである。(解説)

生涯を旅に暮らしたアンデルセンは,ことにイタリアにあこがれ,前後4回彼の地を訪れていますが,そのうち1833年,最初のイタリア旅行の印象や体験から生まれたのがこの”即興詩人”です。1835年にデンマークで刊行され,同じ年に刊行された”童話集”に先立ち,アンデルセンの出世作となりました。文壇の派閥争いに巻き込まれたこともあり,批評家たちからは冷たい扱いを受けましたが,一般の評判はよく,次々と版を重ね,各国語に訳され,次第に世界中の人々の愛読書となっていきました。しかしながら”即興詩人”は,”童話集”の名声に隠れ,いまでは故国デンマークでもほとんど顧みられない作品となっています。それは,この物語がロマンティックではあるものの,単純で,話がうまく出来過ぎており,登場人物の性格が一面的である,など所詮通俗小説の枠を出ないものであったからと考えられています。

そんな中,唯一日本でのみ,”即興詩人”はアンデルセンの代表作の一つとして,広く名が知られ,読みつがれてきました。本書を愛し,明治25年から足かけ10年にわたり苦心の翻訳を続けた森 鴎外がいたからです。鴎外は本書をドイツ語訳で読み,「我座右を離れざる書の一に属す」と語り,明治25年11月”しがらみ草紙”に連載を開始。あいだに日清戦争をはさみ,34年に完成。35年9月に森林太郎訳の書名で出版されました。鴎外の文章は,自身が「しちくどいまでに凝った文章」と語る通り,優雅華麗な擬古文で書かれているので,今の若い人にとって,ルビなしで読みこなすのはなかなか骨ですが,幸い岩波文庫版はほとんど全文ルビがふられているので,安心して朗読することもできます。鴎外訳を通して”即興詩人”に魅せられた人も多く,安野光雅氏は,「新興宗教の勧誘者のように」この本の信者を増やす傍ら,舞台となったイタリア各地を踏査したといいます。

ところで,岩波文庫には,大畑による原典訳と鴎外訳のふたつの”即興詩人”が収められています。大畑訳は赤帯(外国文学)でアンデルセンの著者番号を与えられていますが,鴎外訳の”即興詩人”は特別扱いで,鴎外の小説などとならんで緑帯(日本文学)扱いになっています。これは鴎外の訳が単なる”翻訳”をこえて,翻案,もしくは鴎外の半ば創作といえるほど,自由自在になされているからです。

一例として,最終章,”青の洞窟”の一部を大畑原典訳と鴎外訳で比較してみます。
洞窟の小さい入り口は明るい星のように光っていました。それが一瞬暗くなったかと思うと,二三のボートが海の底からのように浮かんできました。やがて,ボートはわたくしたちの方へやってきました。だれもが祈りの気持ちで,物思いにふけっていました。ここではプロテスタントもカトリック教徒も,奇跡の存在を感じました。「潮がさしてくるぞ!」と,こぎ手のひとりが言いました。「出なけりゃなりません。さもないと,入口がふさがって,潮が引くまで閉じこめられてしまいますから。」わたくしたちは,ふしぎなひかりにかがやく洞窟を出ました。ひろびろとした大うなばらがわたくしたちの前にひらけました。青の洞窟の暗い入口をうしろにひかえて。(大畑訳)

巌穴(いはあな)の一点の光明(くわうみやう)は忽(たちま)ち失(う)せて,第二の舟は窟内(くつない)に入り来りぬ。そのさま水底より浮び出(い)づるが如くなりき。第三,第四の舟は相継(あひつ)いで至りぬ。凡(おほよ)そここに集(つど)へる人々は,その奉ずる所の教の新旧を問はず,一人として此(この)自然の奇観に逢ひて,天にいます神父(しんぷ)の功徳(くどく)を讃(たた)へざるものなし。舟人俄(にはか)に潮満ち来(く)と叫びて,忙(せ)はしく櫓を揺(うご)かし始めつ。そは満潮の巌穴(いはあな)を塞(ふさ)ぐを恐れてなりき。遊人(いうじん)の舟は相(あひ)ふくみて洞窟(どうくつ)より出(い)で,我等は前に渺茫(べうぼう)たる大海を望み,後(しりへ)に浪汗洞(らうかんどう)の石門の漸(やうや)く細(ほそ)りゆくを見たり。(鴎外訳 代字あり)

先に鴎外訳に親しんでいたせいか,原典訳(巻末の書き込みによると私は20年前に読んだようです)はまったく別の作品のような感じを受け,申し訳ないことながら,ずっと鴎外訳を読むための”資料”のような気持ちでいました。しかし今回,久しぶりに書架から出した原典訳は,アンデルセンの童話と変わらぬ,やさしく穏やかな大畑氏の語り口が心地よく,楽しく読み進むことができました。

森鴎外全集〈10〉即興詩人 (ちくま文庫)
森 鴎外
筑摩書房
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また,鴎外の「即興詩人」がどのようなものであるのか知りたい,という方には,ちくま文庫版をおすすめします。表記は原文のまま,かつ詳細な注記がついていて,なかなか便利な本です。ただし,あの1ページごとの注記(とくに言葉の説明)というのは,鴎外の流麗な文章を味わうときに,かなり邪魔であるな,と思いますが….。以前の旺文社文庫などでもよく見かけましたが,字面で容易に想像がつくような言葉まで「・・・のさま」などといちいち説明されると,なにか教科書を読んでいるようで,ちょっと気分が乗りませんね。
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追記—-同じ本が2種類の訳で出ているわけですから,混乱もあって,鴎外訳に掛けられた緑帯に大畑訳の赤帯用の紹介文が印刷されてしまったこともありました。文章に異同があることからみて,単純な印刷ミスではなさそうですが….^^;;。(写真は大畑訳と鴎外訳の表紙と帯。鴎外の帯の紹介文が誤っている)

※本項は1997年10月29日掲載分を改訂したもの

「文藝春秋」が拡大版を同時刊行

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文藝春秋は、8月10日に発売する月刊「文藝春秋」9月号で、拡大サイズ版を同時刊行する。高齢読者からの要望に応え、内容はそのままで11%拡大したもの。ただし、通常は折りたたまれている目次ページは見開きになる。拡大版は東京、千葉、埼玉、神奈川、大阪、京都、兵庫の一部書店でテスト販売し、好評であれば今後の選択肢として検討するとのこと。

さんみゅ〜2ndワンマンライブin下北沢に参戦

夏祭り (初回盤A)
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さんみゅ~
ポニーキャニオン (2013-07-03)
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7月6日夜、さんみゅ〜2ndワンマンライブin下北沢に参戦しました。さんみゅ〜のソロライブは、5月26日のTFMホールでのファーストソロライブについで2回目。今回は下北沢ザ・ガーデンでの昼夜2回公演となり、自分は夜の部。

17時開場の30分前になっても受付場所には2〜30人しか集まっていないので、大丈夫かといきなり不安になりましたが、昼にも参加した人が多かったのでしょう、定刻にはそこそこの人だかりとなり、順番に入場。座席は1列14人☓5列で定員70名、それに若干の関係者席という感じで、総勢100名程度でしょうか。前回のTFMはやたら関係者が多かったので、このへんがコアなファン数だと思われます。ファンの年齢層は比較的若くて、ハロのようなオッサンが目につくわけでもなく、若干の女性ファンもいました。もっとも、さんみゅ〜はこれまで2回しかライブを見たことがないわけですが、顔を覚えている人が結構いました(^^ゞ コールのスタイルはごく普通のもの。後席の方は賑やかでしたが、それでも他のグループに比べればおとなしいですねと言われるかもしれません。

夜のセットリストは、①くちびるNetwork②SBM③ほほにキスして④MC⑤ファーストデイト⑥TYM(ここで一時音が出なくなり間があく(^^ゞ)⑦目覚めよ乙女⑧MC⑨自転車通学⑩夏祭り⑪終わらないで夏(サインボールの投込あり…ここだったかな)⑫MC⑬もっとぎゅっと⑭前に進め(アンコール)⑮夢冒険⑯夏祭り(サインタオルの投込あり)⑰みんなの太陽、まで2時間弱。のりPの夢冒険、やりましたね。罪を憎んで歌を憎まず。いいじゃないですか。でも夢冒険自体は、あまり好きな歌じゃないんですが(´・ω・`)。ちなみに昼のセットリストはこちら。
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最初のMCは自己紹介、2つ目はS1グランプリ、3つ目が七夕の願いごと。S1グランプリは、歌、ダンス、演技、トークの封筒の中からお題を1つ引いてそれにチャレンジするもの。優勝したのはともきょん、賞品は富士急ハイランド入場券1名分でした。ライブ中に(昼にも発表があったようですが)、9月から4ヶ月連続で定期公演を初台DOORSでやるとの発表がありました(1日2ステージ)。各公演のネーミングやMCはメンバー持ち回りで担当。詳しくは21日のプレミアムライブで発表とか。終了後はお見送りとカード渡し。私は、せにゃんのカードでした。今回はグッズ購入者に別途、メンバーとの写真撮影や握手会もありました。
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全体的な感想は前回と同じで、歌(生歌)はなかなか上手い。一部、あぶないメンバーもいましたが、他グループに比べれば安定しています。ダンスもよく、ルックスは好みでしょうが、みんななかなかスタイルも良くてカワイイです。ただ、木下はAKBでもハロでもピッタリ来ないので、ソロ向きな感じもします。さて、そうなると、メジャーな事務所サンミュージックの唯一のアイドルグループのソロライブに100人のファンしか集まらなくていいのか、という問題になりますが、いまはAKBの一人勝ちとなった結果、さんみゅ〜だけでなく、ハロプロも他のグループも、何が成功の基準なのかがわからなくなってしまいました。300人近いメンバーを擁して一夜で7万人を集めるAKBGrは、アイドルグループというより、さまざまな業界を巻き込んだ巨大なシステムで、7万人の前には、夏コンで連日2000人で3回まわしをするハロプロさえ、全然売れてないグループ扱いなのですから、何をもってさんみゅ〜が成功したと判断されるのか、すごく難しい問題です。さし当たっては、定期ライブが少しでも長く継続するよう宣伝に努めるしかないのでしょうが、さんみゅ〜は泥臭いグループではないので、ゲリラ的な話題作りも難しそうですし、このままメンバーの思い出作りで終わってしまう可能性は十分にあり、それではいかにももったいないところです。

岩波書店創業百年記念展〈岩波写真文庫〉とその時代 開催中

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岩波書店創業百年記念展 本づくりの熱気、再発見!〈岩波写真文庫〉とその時代が6月23日(日)から7月8日(月)まで、銀座の教文館9Fウェンライトホールで開かれている。午前11時~午後7時(入場は午後6時半まで・最終日は5時閉場)、入場料は大人500円、高校生以下無料。岩波書店が所蔵する写真原稿などを中心に60年前のお宝を一挙公開!この時代に刊行が始まった〈少年美術館〉〈岩波少年文庫〉〈科学の学校〉〈岩波子どもの本〉の初版本などの資料も合わせて展示する。

会場では
・名取洋之助が撮影した写真の密着帖(1937年にアメリカを横断取材した時のもの)を初公開。
・〈岩波写真文庫〉全286 冊を展示。また手にとってご覧いただけるよう、読書コーナーを用意いたします。
・1952年に岩波映画製作所が製作した、映画「文化をになう人々」を一部上映いたします。岩波書店に集う文豪、文化人たちの登場する映像は見逃せません。
・入場先着1,000名様に、冊子「本と岩波書店の百年」(非売品)をプレゼント
とのこと。

岩波文庫6月の新刊

岩波文庫6月の新刊は以下の4点。

珈琲店・恋人たち (岩波文庫)
ゴルドーニ
岩波書店
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■珈琲店・恋人たち(ゴルドーニ/平川 弘訳)
コーヒーがヨーロッパで広く飲まれるようになった18世紀中葉の風俗を描き、賭博屋の主人、偽伯爵、給仕頭など登場人物の会話の応酬が面白い「珈琲店」と、傷つけ合う恋人同士を描いた「恋人たち」。18世紀ヴェネツィアの喜劇2篇。

訳詩集 葡萄酒の色 (岩波文庫)
岩波書店
売り上げランキング: 32,715

■訳詩集 葡萄酒の色(吉田健一訳)
翻訳家、評論家、作家として活躍した吉田健一(1912―1977)が選び訳出したシェイクスピア、ボオドレエル、ラフォルグ、イエイツ、ヴァレリイ、エリオットなど英仏の詩篇集。

存在と時間(二) (岩波文庫)
ハイデガー
岩波書店
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■存在と時間(二)(ハイデガー/熊野純彦訳)
「現存在の存在」の分析を通じて、「存在」一般の意味を根底から問い直そうとした、20世紀最大の哲学書。本巻では、「世界内存在」としての「現存在」の基礎的分析の一環として、「共同存在」である「ひと」のあり方に注目。「不安と恐れ」「気づかい」「実在性」などを手がかりに、「現存在」の全体構造、真理の存在に迫る。(全4冊)

鯰絵――民俗的想像力の世界 (岩波文庫)
C.アウエハント
岩波書店
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■鯰絵―民俗的想像力の世界(C.アウエハント/小松和彦ほか訳)
安政2年の江戸大地震直後に、ユーモアと風刺に富んだ多色摺りの鯰絵が大量に出回った。基本モチーフは、「地震鯰」「鹿島大明神」「要石」。鯰絵とそこに書かれた詞書には世直しなど民衆の願望も表象されていた。日本文化の深層を構造主義的手法で鮮やかに読み解く日本民俗学の古典。カラー図版多数。

岩波現代全書の創刊

岩波書店は6月18日、岩波現代全書を創刊した。本シリーズは、「人文・社会・自然科学のあらゆる分野の若手・ベテラン研究者が、アカデミズムを社会にひらき、多くの人びとに最新最良の成果を発信し、学知の水脈を切りひらきます。読みやすい文章、親しみやすい造本、求めやすい価格で、学問研究の魅力を、新たな器に盛りこんでいきます」とのことで、創刊月に5冊、以降毎月2冊の刊行が予定されている。定価は2000円ほど。創刊ラインナップは、

ドゥルーズの哲学原理 (岩波現代全書)
國分 功一郎
岩波書店
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ドゥルーズの哲学原理(國分功一郎)

「幸せ」の経済学 (岩波現代全書)
橘木 俊詔
岩波書店
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「幸せ」の経済学(橘木俊詔)

「シベリアに独立を!」 諸民族の祖国をとりもどす(田中克彦)

円周率が歩んだ道 (岩波現代全書)
上野 健爾
岩波書店
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円周率が歩んだ道(上野健爾)

日本人の心を解く――夢・神話・物語の深層へ (岩波現代全書)
河合 隼雄
岩波書店
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日本人の心を解く 夢・神話・物語の深層へ(河合隼雄)

日本国憲法の軽装版発売

日本国憲法 (小学館アーカイヴス)
小学館
小学館 (2013-06-20)
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小学館は1982年に大活字と写真入りで刊行し、大ヒットとなった「日本国憲法」(これまで37刷92万部)を軽装版として再発売した。

岩波文庫2013年夏の一括重版

岩波文庫2013年夏の一括重版(7月10日発売予定)は以下の24点28冊

■ 地震・憲兵・火事・巡査 山崎今朝弥・森長英三郎 編
■ ローマ皇帝伝(全2冊) スエトニウス/国原吉之助 訳

ドビュッシー音楽論集―反好事家八分音符氏 (岩波文庫)
ドビュッシー
岩波書店
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■ ドビュッシー音楽論集―反好事家八分音符氏 平島正郎 訳
■ 物の本質について ルクレーティウス/ 樋口勝彦 訳
■ スピノザ 知性改善論 畠中尚志 訳
■ 人知原理論 ジョージ・バークリ/ 大槻春彦 訳
■ 新約聖書 使徒のはたらき 塚本虎二 訳
■ 問はず語り 後深草院二条/玉井幸助 校訂

神皇正統記 (岩波文庫)
神皇正統記 (岩波文庫)
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岩佐 正
岩波書店
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■ 神皇正統記 北畠親房/岩佐 正 校注
■ わらんべ草 大蔵虎明/笹野 堅 校訂
■ 武道伝来記 井原西鶴/横山 重,前田金五郎 校注
■ 芭蕉七部集 中村俊定 校注
■ 斎藤茂吉随筆集 斎藤茂吉/阿川弘之,北 杜夫 編
■ 迷路(全2冊) 野上弥生子
■ 菩提樹の蔭 他二篇 中 勘助
■ 晩年の父 小堀杏奴

随筆集 団扇の画 (岩波文庫)
柴田 宵曲
岩波書店
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■ 随筆集 団扇の画 柴田宵曲/小出昌洋 編
■ 経済学および 課税の原理(全2冊) リカードウ/羽鳥卓也,吉澤芳樹 訳
■ ヒトーパデーシャ―処世の教え ナーラーヤナ/金倉円照,北川秀則 訳
■ ヴォイツェク・ダントンの死・レンツ ビューヒナー/岩淵達治 訳

メリメ怪奇小説選 (岩波文庫 赤 534-4)
メリメ
岩波書店
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■ メリメ怪奇小説選 メリメ/杉 捷夫 編訳
■ ドン・フワン・テノーリオ ホセ・ソリーリャ/高橋正武 訳
■ 灰とダイヤモンド(全2冊) アンジェイェフスキ/川上 洸 訳
■ ペドロ・パラモ フアン・ルルフォ/杉山 晃,増田義郎 訳